世界で最も安全な自動車工場を目指して



従業員の健康と安全を管理するためにテスラに入社した私に課された任務は、労働力を守り、安全な職場環境を作るための対策の全面的な見直しでした。これまで25年に渡り安全な職場環境づくりに携わって来た中で私は、ほとんどの問題は従業員の言葉に耳を傾け、常識を使い、事前に対策を練り、安全を重要視する社風を築くことで解決できるということを学びました。入社以来、こうした対策の多くが既に実施されていることを知って大変嬉しく思っています。まだ完璧ではありませんが、世界で最も安全な自動車工場となることを目指し、この他にも数々の対策を講じています。特に注力している点をご紹介します。

学習と事前対策
私たちは安全性に対し積極的なアプローチを取っています。これには、人間工学に着目して適切な安全装備や規制を実装することから、従業員全員が日常的な作業に潜む危険と、それを最小限に抑える方法を常に意識するよう教育することまで、様々なことが含まれます。

これは実際にどのように作業が行われているかを理解し、予め安全対策を改善することを意味します。例えば、Model 3に部品を取り付ける作業には、人間工学に基づいたゼログラビティ チェアを使用します。それが使用されている様子を見ていたある従業員が、作業中に誰かがチェアの後ろを歩いて怪我をすることを防ぐ安全装置を取り付けることをひらめきました。私たちはそのアイデアをすぐに採用しました。これは、テスラが日常的に従業員からフィードバックを集め、実際に作業がどのように行われているかを見て学ぶことで、事故が発生する前に安全対策を改善していることの一例です。フリーモント ファクトリーだけでも従業員10,000人を超える環境で、このような小さな事前対策をいくつも実装することは、大きな成果につながります。

安全性の測定
一般的に職場の安全性を測るためには、労働災害頻度 (TRIR) という指標が使われます。昨年末までのデータから、2017年のテスラのフリーモント ファクトリーにおける災害頻度は、2016年と比べ25%低下しており、最新の業界平均と同等のレベルにまで改善されました。もちろん現状に満足はしていませんが、2018年には業界平均を下回ることができると確信しています。2017年のデータを詳しく見ていたところ、以下の点が目立ちました。

まず、労働災害の内の約3分の2には、繰り返し行う作業により発生した人間工学的な問題が関連しているという点です。この理由からModel 3は人間工学を考慮してデザインされました。そのため、Model 3の増産が進み、さらに予防措置を講じることで災害頻度はかなり低下するでしょう。

次に、テスラは非常に短い期間で安全性を大幅に改善したという点です。テスラは車両を量産し始めてから僅か5年で業界平均レベルの安全性を達成し、今後も短期間でさらに高いレベルの安全性を達成できることが見込まれています。2016年から2017年までにテスラの生産台数は20%増加し、災害頻度と怪我の重症度は大幅に低下しました。

そして、フリーモント ファクトリーにおける安全性は、同じ工場がNUMMIとして稼働していた2010年までと比べ、圧倒的に優れているという点です。2000年代、NUMMIのTRIRは最も悪い時で19.19、稼働停止するまでの7年間の平均は12.6でした。その7年間でNUMMIのTRIRが業界平均よりも優れていたことはなく、平均で33%劣っていました。


事故発生時の対応
実際に事故が発生した時には間違いなく適切な措置が取られる必要があります。そのため、テスラでは職場復帰支援プログラムを大幅に改善しました。

テスラで従業員が怪我をして、日常業務に支障が出る場合、就労制限が設けられます。以前のプログラムでは、怪我をした従業員が所属部署で仕事を続けられない場合、回復するまでは怪我をしていてもできる軽い作業を行う部署に回されていました。その場合、その従業員には新しい部署での作業内容により賃金が支払われ、以前の賃金との差額は保険を通して支払われていました。これは業界では一般的な対応ですが、充分な対応であるとは言えません。

新しいプログラムでは、怪我をして復帰した従業員が以前よりも軽い作業を行うことになった場合でも、以前と変わらない賃金を支払います。また、怪我の状態によりテスラで仕事ができなくなった場合は、一時的にYMCAや図書館などの非営利団体や組織で地域貢献活動を行ってもらい、従来通りの賃金を支払います。

お客様にとっても、従業員にとっても、最も安全な自動車
最後に、テスラでは生産プロセスを改善し続けており、それはModel Xの生産開始当初から大きく前進しています。テスラでは引き続き従業員を増やし、労働力を強化していますが、それだけでなく、車両の生産に必要な労働時間は2016年上旬から33%減少しました。以前はModel SとModel Xを生産するために3シフトとかなりの残業が必要でした。今は、2017年に生産台数が10万台に増えたにも関わらず、2シフトと最低限の残業で賄うことができます。

私たちはModel SとModel Xで学んだことを、Model 3の生産工程に応用しています。Model 3の開発にはテスラの人間工学チームが深く携わりました。例えば、バーチャル リアリティ プログラムを使って自動車生産に伴う動作を正確に再現し、研究しました。その結果、Model 3の組立ラインにおける、肉体に掛かる負担やストレスが大幅に軽減されました。これにより既に大きな影響が出ており、Model 3の増産が進むにつれ、さらに大きな成果が見られるでしょう。

そして常に進化し続けるというテスラの社風通り、私たちはまだまだ計画を進めています。先日は生産に関わるすべての従業員が生産ラインに配属される前に、生産の基礎、人間工学の重要性、そして安全に作業する方法を学ぶためのトレーニング センターをオープンしました。また、24時間365日体制となった社内メディカル センターの責任者となるメディカル ディレクターも採用し、体の違和感や痛みが怪我に発展する前に対処するために、アスレチック トレーナーによる早期介入プログラムも開始します。さらに、主要な部署では週2回の監査を実施し、同じ作業を繰り返し行うことによる負担を軽減するために、従業員のローテーションを自動で組むシステムを実装する予定です。

テスラに入社する前であったら、世界で最も安全な工場というのはあまりに大それた目標だと思っていたでしょう。しかし、こうしてテスラの一員となり、優秀なチームに触れ、数々の熱心な従業員と直接会い、実際に素晴らしい成果が上げられるのを見た今、その目標を達成できると信じています。

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