テスラのAWDデュアルモーターの出力とトルクのスペック

試乗予約 Experience Dual Motor power today

ガソリン車と電気自動車の定格馬力を直接比較するのは困難です。電気自動車の駆動システムの物理的性質はガソリン車のものとは大きく異なります。EVでは、リチウムイオンセル内で起こる電気化学反応により電力が発生します。その電力が電圧と電流を制御するパワーエレクトロニクスを通り、その後モーター内の電磁石を通ることでタイヤを動かすシャフトを回転させるための強力な磁界が発生します。このシャフトを回転させるために必要な力は、従来の馬力と強い相関関係にあります。しかしながら、実際にはこの連鎖の発端はバッテリーパック内で起こる電気化学反応です。そして、バッテリーの温度、充電状態や年式次第で引き出せる電力は大きく変わります。

テスラのAWDデュアルモーター車、「Model S デュアル」の定格馬力「相当」の算出方法について分かりにくい点があるとのことですので、このブログでそれらの疑問点にお答えしたいと思います。

電気「馬力」

電力を馬力で定義するのはあまり直感的な方法ではありません。キロワットやメガワットといった単位の方が余程有用です。電気は、馬や燃料燃焼エンジンのようには単独で物理的動作を生むことができません。 電動モーターが電気を動力に変えます。ガソリンがタンクからエンジンに流れるのと同じように、電力は流れているものだと考えてください。この電子の流れは様々な状況(低充電状態や低温時など)により悪くなり、電動モーターの最大能力を下回ってしまいます。逆に、電子の流れが電動モーターの能力を超えてしまう場合もあります(バッテリーが温まっている場合や急アクセル時など)。バッテリーの定格電気馬力は変動するため、EVの物理的能力を正確に定義することはできません。単独で稼働している場合、モーターシャフトの馬力の方がより安定しています。実のところ、EUで表示しなければならないと法的に定められているのは、この(単独または合計)モーターシャフトの定格馬力だけなのです。

デュアルモーター vs. シングルモーター(P85D vs. P85)

リアドライブのシングルモーター Model Sのシャフト定格馬力はバージョン(60、85、またはP85)により異なりますが大体360−470馬力です。そしてそれはバッテリーの電気「馬力」出力とまったく同じではありませんが、ほとんど差はありません。その差はバッテリーが非常に低充電状態時に運転している際、顕著に感じられます。この状態の時は、電気モーターに物理的な変化がないにも関わらず、化学反応によって得られる電圧が低くなり、馬力相当の値も低くなります。バッテリーの馬力が下がることでシャフトの最大馬力は下がりますが、バッテリーの馬力が変化しても電動モーターが発揮できる最大トルクにはほとんど影響ありません。

テスラでAWDのP85Dを発売した際、前後2つの電動モーターを合わせた能力を特定するためにストレートで一貫性のある方法を選びました。2つのモーターからのトルクが合わさることで加速力が跳ね上がります。それがP85Dを運転する際に感じられる「g」となります。インセイン モードが爽快なのはこのためです。P85Dは1gを少し上回る加速力で発進し、3.1秒で時速96.6 kmまで加速するという素晴らしいパフォーマンスを発揮します。この加速力はモータートレンド誌が行った、ベース車両と中くらいの体重のドライバーによるテストで証明されています。しかし、ドライバーの体重が増えたり、車両重量が増えるオプションを追加した場合、加速力は低下します。また、モータートレンド誌のテストでは走り出しの最初の28 cmはカウントされません。それをカウントした場合、上述のタイムに約0.2秒加算されます。

補足すると、運転地点の標高が高くなるとガソリン車は遅くなるのに対し、電気自動車は逆に速くなります。標高が高くなるに連れ空気抵抗が少なくなるのはすべてのクルマに共通しますが、ガソリン車は酸素不足になります。モータートレンド誌のテストはほぼ海抜0 mの場所で行われました。そのため、Model Sと同じ加速タイムを持つ内燃エンジン車が競った場合、標高が高くなればなるほどModel Sの方が速くなります。

シャフトの馬力が2つのモーターから発生する場合、単純にフロント+リアの計算をすればいい訳ではありません。モーターの合計馬力を上げれば上げるほど、バッテリーの化学的な馬力がモーターの合計馬力を下回る回数が増えました。

さらに、デュアルモーター車のAWDシステムは、路面状況と車両の重量転移に応じて、利用可能な電気馬力をトルク(と出力)が最大化するよう配分します。例えば、急加速すると重量は車両後方に転移します。その際、フロントホイールが空転するのを防ぐため、フロントモーターのトルクと出力を下げる必要があります。その分の出力はリアモーターで瞬時に利用できます。ブレーキを踏む際はそれと逆のことが起こり、フロントモーターでより多くの回生ブレーキ トルクと出力を引き受けることができます。

AWD85Dと70D

85Dと70Dでは、通常の条件下では多くの場合、バッテリーの電気馬力とモーターシャフトの合計出力にほとんど差はありません。85Dではモーターシャフトの合計出力が利用可能なバッテリーの電気馬力を超えることが頻繁にあります。デュアルモーターは現実的な様々な状況下でバッテリーの馬力を有効に活用します。パフォーマンスEVのドライバーにとって真のものさしとなるのは、車両の加速タイムと運転性能です。

JB Straubel

タグ: 

シェアする